Jateひれ伏す-2
θ=5 β=5
さて、冒険だ。
私が「物質X」の情報にたどり着いた経緯は省くとして、無料で公開されている書籍の前半を読んでそれが信じるに値すると判断した。何よりも「物質X」のその機能は、そのスジの権威や公的機関に門前払いをくらい、無価値と認定され、にも関わらず発見者の活動は妨害や脅しを受けてるという事実が「物質X」の信憑性を物語っている。加えて、私はそういう境遇にあるものが大好きだ。そうと分かれば話は早い。私は製品化された「物質X」を取り寄せ、自ら摂取を始めた。特に病気持ちではないが。製品版の「物質X」だけなら、1人で1年程度使える量で2000円くらいである。既に半年近く摂取を続けているが、身体に悪いことは何も起こっていない。
発見者と彼に賛同する人々は既に何万人もの健康問題を解決している。「物質X」が威力を発揮する病気のジャンルは多岐に渡る。ここで疑問が生じる。「物質X」の主たる機能は体内のバクテリア、ウィルス、真菌、寄生虫、その他有害微生物、有害金属、有害物質などを瞬時に酸化させて無効にすることである。健康な細胞や有益な微生物などは傷つけない。一通り反応を終えた「物質X」は微量の塩と水になって反応を終える。身体には無害である。そのような性質の「物質X」が何故、定説ではDNAのミスプリントが原因であるとされ、死の恐怖と共に認知されている悪名高き病をも短期間で治すことができるのか?という疑問である。発見者も当初はその疑問を持っていただろう。しかし、多数の治癒例を目撃し、検証を重ねた結果、ある結論に達することになる。つまり、定説がウソなのであると。
その悪名高き病の治療の歴史は100年にもなる。しかし、インフラばかりが肥大化する一方で死亡率は増加しているという事実は何を意味するのか。そのような事実を目の当たりにしても「へーそうなのかぁ、怖いなぁ」というユルイ反応しかできない我々の感覚は麻痺しており、思考は停止している。100年も経って何も進歩していないということは、はっきりとオカシイことなのだ。
歴史の始まりにおいて、その病の原因をめぐって二つの説があったという。1つはDNAミスプリント説、もう1つはウィルス、あるいは微生物説。後者は抹殺された。何故ならそれは、シンプルで安価で治癒率の高い治療法に結びつくからである。究極的には、一般市民が家庭の医学で治してしまうからである。現代にも後者を取る医師が存在する。ヨーロッパのある医師は真菌説を唱え、それに基づく治療法を開発して成功を収めていた。彼の方法はシンプルである。異常のある細胞を重炭酸ナトリウムで洗浄するだけだ。ほとんど4回の洗浄で問題の細胞は全て消滅する。しかし彼は医師免許を剥奪され、メディアによるネガティブキャンペーンで狂人、詐欺師扱いされ、現在は某国に住居を移して治療活動をしている。お察しの通り「物質X」も同じメカニズムでその病を消滅させるのである。発見者とそのグループは、他のあらゆる病の原因とされる定説もウソであることを発見しつつある。そろそろ命が危ない…。
さて、そろそろJateに登場してもらおう。
私が初めてJateに会った時、彼の胸にはTシャツの上からでもハッキリと分かる二つのお椀型突起があった。しかし彼は男性である。また、SP-2でもニューハーフでもない。彼の胸にそのような異変をもたらしたのは女性ホルモンである。彼は顔面を覆うニキビを解消するために、長期間自己流で女性ホルモンを服用していたのだ。ニキビが消えたかわりに胸が膨らんだというわけだ。彼はホルモン剤を止めたかった。しかし、止められなかった。どんな医師も薬も彼のニキビを治すことができなかったのだが、ホルモン剤だけが条件付で彼の希望を叶えてくれるからだった。ニキビを取るか、女になるかという二者択一に明確な回答を出さないまま、タイ人らしく「今がよければいい」という感覚でズルズルとホルモン剤を続けて来た。私と友人、特にSP-2の友人は猛烈にホルモン剤に反対した。何故なら、ホルモン剤による男性機能の退化は不可逆だからである。おりしもJateにはその兆候が現れ始めていた。そしてJateはホルモン剤を止めた。
4ヵ月後にJateに会った。彼の顔面はニキビで覆われていた。胸の隆起は無かった。それでも彼は医師にもらった薬を使用していた。色黒のJateの顔がニキビに覆われているのは正直言って醜い。私はJateに「物質X」のことを話した。Jateはまったく信用してくれなかった。医師に治せないものが、どうしてそんなモノで治るのか、Jateには納得がいかなかった。まして、訳のわからないものを飲んだり、顔に塗って大丈夫なのかという疑念があった。
そこで私は「物質X」6滴と10%のクエン酸溶液30滴を混合し、コップ半分の水を加えて飲んでみせ、ついでに自分の顔に塗ってみせた。Jateはそれを見て安心したようだが、ニキビが治ることは信用しなかった。しかし最悪でも何も起こらないということが分かったため、彼は飲む決心をした。「もしこれでニキビが治ったらオレはヒラサワにひれふすよ」と言って「物質X」を飲み、そして顔に塗った。
15分ほど経過した時だ、その場に居た1人がJateの顔をみて「あ」と言った。「Jateの顔がキレイになってる!」。まさかと思ったが、確かにキレイになっている。まだニキビは存在するものの、小さなものは消滅し、大きなものも隆起が小さくなっている。しかも肌の色が明るくなったように見える。Jateは喜々として「物質X」を再び塗った。その後活性化した「物質X」をペットボトルにつめ、それを持って夕食に出かけた。Jateは車を運転しながらも塗った。
食事から戻り、部屋の明るい照明に照らされたJateの顔を見て一同はまた驚いた。よりキレイになっていたからである。ニキビの数が明らかに減っている。顔色が良くなっている。Jateは更に塗り、更に飲んだ。
翌日、Jateの顔にニキビは無かった。しかし、まだ痕跡があり、完治とは言えなかった。私はJateに「物質X」を分け与え、帰国した。
つづく。



